あじばこプレス
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2021年度入試は、日本の教育や大学入試の在り方を考える大切な年でした。特に、初の実施となった「大学入学共通テスト」は、どのような試験内容になるのか注目されました。今回は、2021年度入試を振り返りながら、次年度の傾向と志望校選択のポイントについて考えてみたいと思います。
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【2021年度入試の振り返り】
2021年度は、コロナ禍での新入試「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」実施ということもあり、非常に大変な状況下での入試となりました。
まずは全体の志願者数(一般選抜)の動向を見てみましょう。
・国公立大学:前年比97%(約1万4千人減・文部科学省発表)
・私立大学:前年比86%(約54万人減・逆引き大学辞典編集部調べ)
・大学入学共通テスト:前年比96%(約2万2千人減・大学入試センター発表)全体的に昨年を下回り、特に私立大学の志願者数は大きく減少しました。理由としては主に次の要因が考えられます。
①18歳人口の大幅減
この数年は7,000~9,000人前後という比較的緩やかな現象が続いていましたが、2021年度は約27,000人という大幅減となりました。実志願者数は約67万人でしたので、4%にあたる人数が減少し、大きな影響を与えました。②既卒生(浪人生)の受験数減
2万2千人減少のうち、約1万9千人は既卒生の減少でした。共通テストの初年度でしたので、浪人1年目で新入試を受験するというリスクを回避し、浪人せずに現役で大学に入学するケースが増えたと考えられます。③併願校数の減
昨年はコロナ禍により、通常のオープンキャンパスや大学説明会の中止が相次ぎました。そのため受験生の情報収集や進路研究が思うように進まず、併願校数に影響を与えました。
また、感染リスクを鑑み、受験校数を最低限に控えたという声もありました。コロナ禍においては経済的な影響も大きく、国公立大学志向や地元志向がより強くなったと言えます。また、指定校推薦枠の活用も増えており、より確実に大学を決めたいという傾向が見られます。さらには総合型選抜や学校推薦型選抜という、いわゆる「年内入試」を実施する大学は年々増えていますので、一般入試の受験者数にも影響していると考えられます。
また、分野としては「通信・情報」「医学・看護」「工学」「社会福祉」などの志願者数が前年比90%以上という比較的堅調な状況でした。コロナ禍においては、「資格の取得」ということも重要な要素になっていると言えるかもしれません。 -
【2022年度入試の予想】
共通テストについては、初年度の実施により2022年度以降の出題傾向や方向性が示されたと言えます。
英語では文法問題が出題されず、すべて読解問題となりました。また、図・表・グラフを複合的に読み解く問題も出題されました。数学も問題文が長くなり、問われていることを理解する思考力や判断力が必要となりました。その他、理科や社会でもグラフや資料を読み解く問題が出題されています。
基礎的な知識をベースに、さまざまな情報をスピーディに整理、考察する力が必要となります。次年度のポイントをまとめましたので、模試や過去問を活用して実践力を身に付けていきたいですね。<2022年度大学入学共通テストのポイント>
①多様な形式の問題文を読み解く「読解力」
②何を問われているのか、また何の知識を用いて解くのかを考える「思考力・判断力」
③グラフ・図・表などの資料から情報を読み取り、解答を導く「応用力」共通テストに限らず、国公立大学・私立大学の各大学における入試においても「学力の評価」に関する入試の変更が見られます。一般選抜では「主体性」や「記述力・表現力」をより評価する傾向にあり、知識だけではなく自分の言葉で表現することは重要になるでしょう。
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【志望校選択のポイント】
最近の大学選びは本当に情報が多く、どのように大学を選んでいけばよいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。ここでは志望校選択におけるポイントをご紹介したいと思います。
①大学の強みや特徴をしっかり理解しましょう
大学ホームページや大学案内で、教育理念や沿革をチェックしてみてください。大学ごとの考え方がよく分かりますので、お子さんが入学された後のイメージもできるでしょう。また、オープンキャンパスや進学相談会に参加できる機会がありましたら、学部学科の強みや特徴、授業の様子や先生方のことなど、具体的に確認できるチャンスです。大学ごとの違いを知ることで入学後のミスマッチも防ぐことができますので、ぜひ活用したいですね。②好きなことや学びたい分野を選択しましょう
自分の興味・関心で選ぶことは大変重要です。大学では授業も専門的になりますので、学びを深められる一方、興味のない分野に進学してしまうとかなり苦痛ですし、せっかくの大学生活がもったいないですよね。就職なども気になるところですが、例えば法学を学んだ人が全員法曹界に進むわけではありません。専門的な職業は別ですが、就職する業界や職業の選択肢があることも大学の大きな特徴です。大学時代ほど自分の好きなことに好きなだけ打ち込める時間はないと思いますので、ぜひ「学びたい」と思った分野を選択してほしいですね。③入試方式をよく研究しましょう
大学によって入試方式や選抜方法は様々です。入試の種類は大きく分けて「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」の3種類ですが、名称や方式は多種多様ですので各大学の内容をよく調べて研究しましょう。大学入試というと一発勝負の試験というイメージがあるかもしれませんが、それだけが大学入試ではありません。例えばお子さんがコツコツ続けていることや夢中で取り組んでいることが、実は大学の入試で評価されることがあるかもしれません。大学もあらゆる観点で受験生を選抜したいと考えていますので、お子さんに合った入試方式がきっと見つかると思います。 -
【亜細亜大学の総合型選抜】
先ほど、志望校選択のポイント③でご紹介しました「総合型選抜」ですが、亜細亜大学でも非常に特徴的な入試が実施されています。
入試制度によって、募集する学科・求める学生像・出願資格などが異なりますので、希望する入試情報の詳細を確認するようにしましょう。・ホスピタリティAO入試
・ホスピタリティ入試
・グローバル人材育成入試
・一芸一能入試
・同窓生子女入試
・スポーツ・文化活動入試試験によって小論文、集団討論・集団面接、学力基礎テストなどが実施されます。それぞれの試験内容を確認し、対策に取り組みましょう。
また、出願や試験日などの入試スケジュールも試験によって異なりますので、合わせて確認することが大切です。総合型選抜は、個人の特徴を生かすことができる入試方式です。これまでの高校生活で打ち込んできたことや経験が皆さんの強みとなります。これまで取り組んできた活動をふまえて、大学でどのような学びにつなげたいのかを、しっかりと大学に伝えられると良いですね。
コロナ禍で大変な状況が続きますが、納得できる大学選択ができるよう心より応援しています。引き続き健康に気を付けながら頑張ってください!
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