大学の教育方針、求める学生像はどこまで把握しておけばいい?
3つのポリシーを読み解くコツ
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受験生にとってはいよいよ勝負の夏に入ってきました。
暑さも厳しくなってきましたので、くれぐれも体調に気をつけて過ごしていただきたいと思います。さて今回は、大学入試にも関わってくる「大学の3つのポリシー」についてご紹介します。普段はなかなか目にする機会が少ないかもしれませんが、大学を選ぶ際にぜひ参考にしていただきたい内容ですので、大切なポイントを解説したいと思います。
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【大学の3つのポリシーとは】
今回ご紹介する「大学の3つのポリシー」とは、入学時・在学中・卒業時というそれぞれの段階における大学の方針のことです。
すべての大学において、この3つの方針を一貫性のある内容として策定し、公表することになっています。
①入学時:入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)
②在学中:教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
③卒業時:卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)大学案内や大学のホームページでは、「ディプロマ・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「アドミッション・ポリシー」の順番で記載されることがほとんどです。
その理由としては、
「どのような人材を輩出したいのか」
「そのためにはどのような教育が必要か」
「その教育を受けるために入学者にはどのような準備をしてほしいか」という考えに則っているからです。
ではそれぞれの内容を詳しくみていきましょう。
<卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)>
卒業時におけるディプロマ・ポリシーとは、各大学において目指す教育を受けることで必要な知識や能力を十分に身につけ、「大学の卒業生としてふさわしい」と認める基準のことで、大学生にとっては学修成果の目標になります。
卒業するための単位はもちろんのこと、取り組みへの姿勢や考え方なども含まれます。<教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)>
ディプロマ・ポリシーの達成のために、どの科目をどのように編成するか、さらにその教育内容や方法、学生の学修成果の評価までの方針を定めたものです。
教育内容の全体像がわかりますので、自分の学びたい内容と合致しているかを確認することができます。<入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)>
上記のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに基づく教育内容等をふまえて、どのように入学者を受け入れるかを定める基本的な方針です。
大学が受け入れる学生には、高校においてどのような学習成果が必要であるかを示しています。学習成果とは知識・技能のみならず、思考力・判断力・表現力、他の人と協働して学ぶ態度、さらには目的意識や意欲なども含まれます。
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【3つのポリシーを深く理解するために】
3つのポリシーは、大学全体の方針とともに大学が設置する学部や学科ごとに定めていることもあります。
大学入学後の学びに対するイメージができますので、大学を比較する際は自分が目指している学部学科の内容まで確認するようにしましょう。
中には専攻レベルまで定めている大学もありますので、大学の学びをより深く理解することができます。
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【大学入試との関連性】
総合型選抜や学校推薦型選抜で受験する場合、「志望理由書」と「面接」はほぼ必須といえます。その際に非常に重要になるのが、受験する大学のことをしっかりと調べているか、ということです。
特に総合型選抜は、「大学が受け入れたいと考える人材」を選抜する入試方式です。そうなると、今回のテーマである「3つのポリシー」をまったく知らない人と、十分に理解している人では、明らかに差がついてしまいます。もちろん、オープンキャンパスなどに参加することで大学を理解することはできますが、「3つのポリシー」は大学の基本となる方針ですので、より本質を理解することにつながるでしょう。
志望理由書を書くときや面接に臨む際は、ぜひ「3つのポリシー」をしっかり読み、大学がどのような考えを持っているのか理解することを意識しましょう。
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【3つのポリシーを読み解くために】
実際に3つのポリシーを読んでみると、かなりの長文であることも珍しくありません。読み解く際のポイントとして「大学が発信しているキーワード」に注目してみましょう。
例えば亜細亜大学の場合、ディプロマ・ポリシーでは「グローバル」「国際社会」「留学」というキーワードから、国際的な視野と考え方を備えた人材育成を行うことが伝わってきます。
また、アドミッション・ポリシーでは、「社会」「目的意識」「意欲」というキーワードから、自分でしっかり思考できる人や主体的に取り組む人を求めていることが分かります。
3つのポリシーを読むときは、ぜひキーワードをチェックし、どのような人材を求めているのかを考えてみると、より大学への理解が深まると思います。
また、創立時の理念である「建学の精神」に注目することも大切です。教育の理念や創設者の願いを込めた言葉からは、大学の原点を垣間見ることができ、各大学の個性を理解することにもつながるでしょう。
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【よりよい大学進学のために】
大学選びにおいては大学での学び、立地、授業料、入試科目などあらゆる要素が関わっており、自分に合った大学を見つけることは簡単ではないこともあるでしょう。
皆さんが大学を選ぶとき、楽しい雰囲気や明るいキャンパスという印象がポイントになることも多いと思いますが、一見難しそうな「3つのポリシー」にこそ、進路選択の大きなヒントが隠れているかもしれません。
皆さんのより良い進路選択につながるよう、「3つのポリシー」をぜひ参考にしてみてください。
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